高齢者で無職の人のうち働きたいと希望している人の割合は5年で急増

高齢者の就業者数は高齢者全体の伸びにより増加していますが、高齢者の中の就業者割合は減少しています。

つまり、高齢者の中で働いている人の割合が減っていることを意味しています。

このような状況は高齢者で「働きたい人が減っている」からでしょうか。それとも「働きたくても働けない」状況なのでしょうか。

本記事では高齢者の方で無職の方の就業希望者比率を見て、疑問を解消していきたいと思います。

首都圏の高齢者は働きたがっている?

総務省が調査公表している高齢者で無職者のうち、就職を希望している人の割合を示しているのが以下の図です。

男女別、都道府県別に平成19年と平成24年の結果がそれぞれ出ています。

■都道府県別高齢無業者の就業希望者比率
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出典:総務省統計局

都道府県別に見ると、男性は東京、京都、大阪、埼玉、神奈川、山梨の順に就業希望者比率が高いことがわかります。

一方、女性も東京、京都、大阪、埼玉、山梨の順になっており、傾向としては似た結果が出ています。

就業希望者比率が最も高い東京は男性17.1%、女性8.6%の人たちが就業を希望しているようです。

東京、大阪、京都が上位で、以下も関東近郊の県が続いていることから、首都圏から近い地域に住んでいる人は就業意欲が高いことが見て取れます。

生活費が高いなどの理由で働かざるを得ないという人もいるのかもしれません。

東京などの首都圏、甲信越地方は実際に働いている人も多くいて、就業率も高くなっています。

全国的に働きたくても働けない高齢者が増加している

また、全体的に5年前の平成19年に比べて平成24年の方が就業希望者の割合が多いことがわかります。

平成19年と比較して平成24年の方が就業希望者比率が高くなった都道府県は男性36都府県、女性で40都府県と全国的に同じような状況にあるようです。

高齢者全体は増加していますが、高齢者の就業割合は下がってきていますので、増加する高齢者に対して仕事が足りず、就業を希望していても就業ができない状況であることが推察されます。

「高齢者の活用」が日本としての課題

高齢者の急激な増加により、高齢者向けの雇用が不足し、高齢者の就職率は年々低下し、逆に就業希望比率は年々高まっています。

別の記事で紹介したとおり、日本の生産年齢人口はどんどん減少しており、その下の年少世代も少ないことから今後の増加も見込めません。

現時点で全人口の4人に1人が高齢者となり、近い将来に3人に1人が高齢者となる社会では高齢者が社会を支えなくてはいけない場面が出てきます。

幸い、昨今の60歳世代はエネルギッシュな人も多いため、活躍の場は変わっても精力的に活動される方が多いようです。

高齢者になって働きたくないという方に無理に働いてもらう必要はありませんが、少なくとも就業希望の高齢者に対しては十分な雇用の機会が与えられるような社会になっていかないといけませんね。

社会構造上、現役世代の人がどんどん減っていってしまっているので、「少子化の対応」ももちろん必要ですが、今の状況で日本全体として最大限の結果を出すには「高齢者の活用」という観点の制度作りや仕組みが必要ですね。