東日本大震災の高齢者の仕事への影響 と被災県からの高齢者の転出

2011年に発生した東日本大震災は日本各地に大きな爪あとを残しました。

本記事執筆時点の2014年となった今は、東北地方で電車も再開し復興の兆しを見せる一方、いまだに仮設住宅に住まわれている方がおられ、町並みも震災前と様変わりしたままの場所も多く、復興はまだ道半ばでもあります。

被災地の高齢者の仕事への影響はどの程度なのか、本記事で見ていきたいと思います。

東日本大震災は38万人以上の高齢者の仕事に影響

総務省の調査では、高齢者の方で、東日本大震災により離職や休職など直接仕事に影響があった人は約38万人であったと言われています。

■東日本大震災による高齢者の仕事への影響
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38人の内訳は、岩手、宮城、福島に在住の人が約10万人、その他の都道府県に在住の方が28万人となっています。

また離職者は2万人で、岩手、宮城、福島に在住の人が約1万1千人、その他の都道府県に在住の方が9千人となっています。

東日本大震災は実家が東北の方など他の都道府県に住んでいても、仕事に影響があったという人が多くいるようです。

岩手、宮城、福島に在住の人は、離職や休職など重大な影響があった人の割合が多くなっています。

「高齢者」に限定しているにも関わらず、仕事に影響があったという人が数十万人いるという点が、震災の爪痕の大きさを改めて感じさせます。

被災3県の方のうち、他の都道府県に避難をし離職した人で現在仕事をしている人の割合は10.5%です。

一方、3県にとどまり離職した人で現在仕事をしている割合は21.6%となっており、他県に避難をされた方の再就職が最も厳しいということがわかります。

被災県からの高齢者の転出は一服

東日本大震災の影響として、仕事と同じくらい重大なのは、被災県からの転出があります。

長く住んでいた方も多いと思いますので、そのような状況から転出をされるというのは、かなりの決心だと思いますが、平成22年、23年には福島、宮城、岩手などの被災県から他県への転出が多数発生していました。

平成24年の調査では転出超は減少し、被災県からの転出の流れは一服した感がありますが、今後は東北に人が戻ってくるか、転入の流れに期待をし、注視をしていきたいですね。

上述した通り、他県に避難をした人の再就職率は10%と低い状況ですので、帰るに帰れない状態の人が多くいることが推察されます。

ですので、岩手、宮城、福島での高齢者の雇用をすることで、転入も増えるという好循環にのせる必要があるといえます。